こんにちは、シュミペディア初投稿になります。数学の美しさをこよなく愛するナウシカです。
今回は “1” という記事について。
“1” の記事から数学の世界の美しさをぜひ感じ取っていただけたらと思います。
ウィキペディアから数学の世界に足を踏み入れていきましょう!
まずは “1” の記事の最初の2文を見てみましょう。
さらっと流してしまいそうな冒頭部分に実は執筆者からの挑戦状が隠れています。気付きましたか??
「0を自然数に含めない流儀」という部分。執筆者はここで「0を自然数に含めるかどうか問題」に触れているのです。
執筆者からの挑戦状
“1” の記事で最初に取り上げられているのが「0を自然数に含めるかどうか問題」。
数学を学んだことのある人なら一度はこの問題について考えたことがあるのではないでしょうか?
「0を自然数に含めるかどうか問題」について少し解説しますね。
この問題は大きく、「集合論」をベースにした ”0” を自然数に含める派と「ものの数え方」をベースにした ”0” を自然数に含めない派に立場が分かれます。
“0” を自然数に含める派の主張は
「集合の要素の個数と自然数を1対1に対応させるときに、空集合だけ自然数で対応させられないのは気持ちが悪い!0を自然数に含めてしまえ!!」
というもの。
対して ”0” を自然数に含めない派は
「リンゴの個数を数えるときに、1個、2個…と数える。リンゴが0個とは言わず、リンゴが「ない」と表現する。つまり、ものの個数を数えるときに0は使わない!だから自然数に0は含めない!」
と主張しています。
“1” の記事を執筆した人は
「このページを読もうとするぐらいなら、当然一度はこの問題について考えたことがあるよな??」
と、読者を試したかったのではないでしょうか?
記事の冒頭に「0を自然数に含めるかどうか問題」を持ってきているところにそんな迫力を感じます。
この問題、実際のところどうなのかというと、どっちでもいいというのが現状の見方。
扱うときに都合のいい方を採用してOK。数学の世界は自由なのです!
ぼくはどちらかというと、「ない」という表現はすっきりしないので ”0” は自然数に含めたい派の人間ですけどね!
数学の世界の美しさ
“1” の記事のすばらしさは『数学的性質』の項目にあふれています。
“1” という小学生でも分かるようなものに、解析、代数、幾何、整数、統計、どんだけ盛り込むんだよ!!と感じるほど、人類の英知の結晶が凝縮されています。
紀元前から続く数学の歴史の膨大さ、数学本来の美しさをこの『数学的性質』の項目から感じ取ることができるのではないでしょうか!!
以下ではこの項目から感じ取れる数学の美しさを紹介していきますね!
美しさ① 図形数に美しさを感じる
突然ですが、あなたの好きな平方数(2乗された数)はなんですか?
ぼくの好きな平方数は225です!!15番目の平方数!!
なぜかと言うと、平方数でありながら
225 = 13 + 23 + 33 + 43 + 53
と、1~5 までの連続する立方数(3乗された数)の和としても書けるのです!!
美しすぎるぅぅ~~!!
このように数の美しさを感じ取りたい人には “1”の「図形数」の項目がオススメです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%B3%E5%BD%A2%E6%95%B0 より
図形数とは、上の図のように規則を持って図形上に並べられた点の個数のことです。
例えば上の図は「四角数」を表しています。
正方形の中の点の数が1個、4個、9個、16個…と平方数(2乗された数)になっているのが分かりますね。
ここ、めちゃくちゃ重要です!!数学の美しさが隠れています!!
どんな美しさかというと、
図形を調べていくことで、平方数という有名な数に行きつくという美しさです!!
目で見て直感的に理解できる「図形」と人間が作り出した概念である「数」がつながる所に数学のロマンを感じませんか!?
まったく別のものだと思っていたら、実はどこかでつながっていたという発見は数学の美しさの1つです。
美しさ② 数の神秘性に美しさを感じる
『数学的性質』の項目に圧倒的に多いのが「1は最小の〇〇数」という内容。例えば次のようなものがありますね。
最小の倍積完全数。
最小の自己同形数である。
最小のカタラン数。
最小の高度トーティエント数。
最小のメルセンヌ数であり、1 = 21 − 1。
最小のベル数である。
最小のリュカ数である。
最小のハーシャッド数である。
最小のカプレカ数(第1定義)。
こんなに数に名前があるなんて知っていましたか??
全部を詳しく紹介すると大変なので、「ハーシャッド数」だけちょっと紹介すね。
ハーシャッド数(ハーシャッドすう、英: harshad number)とは、各位の和(数字和)が元の数の約数であるような自然数である。例えば、195 は各位の和が 1 + 9 + 5 = 15 であり、15 は 195 の約数であるので 195 はハーシャッド数である。
こんな数があるなんてぼくも初めて知りました。ハーシャッド数のようなマニアックな数を紹介していると、「数学ってこんなことして結局何の役に立つの?」という声が聞こえてきます。
そう思ってる人たちにぼくは声を大にして言いたい。
考えて、感じろ
「考えるな、感じろ」という有名なことばがありますが、数学は考えないと美しさを感じることはできません!
ハーシャッド数のように名前の付いた有名数の美しさは数の規則が持つ神秘性にあるとぼくは考えています。
人類が作り出した “数” という概念に見出されたなんらかの規則性。
その規則性はこの世界にもともと存在している自然的なものなのか、人類の作り出した “数” だからこその非自然的なものなのか。はたまた、神の仕業なのか。
正直ぼくにはわかりません。
ですがここに、数の規則が持つ神秘性を感じるのです!!
ぜひ、”1″ の記事を読んで数学について考え、美しさを感じ取ってみてください!!
美しさ③ 等式の美しさを感じる
最後はこちらの内容。
全ての項が 1 である数列の母関数は次で与えられる。
-
この級数は、|x| < 1 のときに限り収束する。
ぼくはこの内容が大好きです!!
等式がなんとも美しい!!!ビューティフォー!!!
まったくどこが美しいのか理解しかねると思いますので、この等式の美しいポイントを3つ紹介しますね!
最初のポイントは、右辺が永遠と続いていくにも関わらず、左辺は1つの分数で表されているところ!!
やばくないですか??
無限につづいていくのかぁ~がんばれよ~!と思いきや、
おい!そんな簡単におわるのかい!!と突っ込みたくなります。
予想を覆される衝撃がたまりません!!
2つ目のポイントは、右辺の多項式を等比数列の和として考えるという論理展開のうまさ!!
等式の美しさは結果だけでなく、導出の過程にも表れます!
この等式は、右辺を初項x 公比1の等比数列とみなし、和の計算を行うことで左辺を導くことができます。
多項式を数列として考えるという巧妙なテクニックにほれぼれしますね!!
最後のポイントは、この式全体にただようシンプルさ!!
累乗の数はきれいに1, 2, 3,…と続き、項として出てくる数は1とxしかありません。
複雑に込み合った数学の世界の中で、この等式のようにシンプルさを発見した瞬間に感動を味わうことができます!!
どうですか!?この等式がどんどん美しく見えてきませんか!?
ちょっと興奮してしまいました。いったん落ち着きます。
おまけ 古代エジプト人が自由すぎる
美しさは感じませんでしたが、古代エジプト人の自由さを感じたこちらの内容もよかったら見てみてください。
古代エジプトでは、2/3 と 3/4 は別格として、一般の分数を、分子が 1 で分母が異なるいくつかの分数の和として表した。例えば、2/5 = 1/3 + 1/15 などである。分子が 1 の分数、あるいはそれらの和で表す形式は、単位分数またはエジプト式分数と呼ばれる。
古代エジプト人好き勝手しすぎじゃないですかね!?
なんか勝手に 2/3 と 3/4 を特別扱いしちゃってますよ!!
2/3 と 3/4 なんてぜんぜん美しい数じゃないのに!!ぜってー適当にえらんだだろ!!
加えてなんだよ、「一般の分数を、分子が 1 で分母が異なるいくつかの分数の和として表す」っていう謎のこだわり!!
2/5 = 1/3 + 1/15 と表すって古代エジプト人暇すぎだろ!!
そんなことする暇あったら円周率でも計算しとけ!!
ツッコミどころが満載です。
まさか “1” の記事で古代エジプト人に思いをはせることになるとは…
いかがでしょうか?『数学的性質』の項目から数学の美しさを感じ取っていただけたかと思います。
では、次の項目『基本的な計算の表』に移りましょう!
“1” のもつ固さとやわらかさのハーモニー
『数学的性質』の項目で数学に親しみのない人をガン無視して美しさを解き放っていた “1” ですが、次の項目『基本的な計算の表』ではうってかわって読者に寄り添うやさしい内容になっています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/1 より
まずは、一番上の「乗法」の表を見てみましょう。
おなじみの九九の”1の段” ですね!
“1” になにをかけても “かける数” が求まるだけ。”1 × 2″ はいつ何時も必ず “2”。今日は調子が良いから “5” にしちゃおう!なんてことは絶対ありません。
もう一つ、冪乗の表を見てみましょうか。
この表もすぐに理解できると思います。”1″ は何乗しても絶対 “1”。”100000000″ 乗しても “1” です。
なので表には “1” 以外の数字は出てきません。
この表を見た人は「なんだこのあたりまえな表は!わざわざ載せる意味があるのか!?」と思ったことでしょう。
しかし、ぼくはここに “1” の持つ固さとやわらかさのハーモニーを感じるのです!!

https://ja.wikipedia.org/wiki/1 より
先ほど述べたように、”1″ は何乗しても必ず “1” になります。
小数点以下がずっと続く数、無限大と言えるほど大きな数が来ても自分自身、つまり” 1″を保ち続けるのです。
ここに “1” の強くゆるぎない意志を感じませんか!!
どんな強い敵が来ても己を信じて立ち向かっていくような力強さを “1” は持っています!
対して、乗法の表をもう一度見てみましょう。
“1” に何をかけても必ず “かける数” を返します。
たとえめちゃくちゃ大きな数をかけられても、どんなに小さな数をかけられても、そのまま素直にそっと受け流します。
ここに “1” の、しなやかでやわらかく、優しい雰囲気が漂っています!
どうですか?? “1” の持つ固さとやわらかさのハーモニーを感じ取れましたか!?
強さとしなやかさ、”1″ はこの両面を兼ね備えているのです!!
まとめ
ウィキペディアの “1” の記事の魅力についてお伝えしました!
自然数に0を含めるかどうか問題、数学の世界の美しさ、”1″ という数字が持つかたさとやわらかさのハーモニーを通して、数学っておもしろいんだなぁ~!と思っていただけたら幸いです!
では!